国産スギ建材の普及、政府が促進 新成長戦略

2014年6月24日
日本経済新聞 2014/6/24 2:00日本経済新聞 電子版
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2003C_T20C14A6PP8000/
 

政府は国産のスギなどを使った新たな建築資材の普及に乗り出す。「クロス・ラミネーテッド・ティンバー(CLT)」という欧州生まれの資材で、木材を多用し、耐震性に優れるとされる。国内では現在は建築基準法で認証されていないが、24日にも閣議決定する新成長戦略に普及の加速を明記する。国産材の需要を創り出すことで、林業が成長産業になる道筋を探る。

CLTは板を垂直に重ね合わせた集成材で、欧州で1990年代半ばに開発された。厚みのあるパネルに加工でき、高い耐震性や断熱性、遮音性を期待できるという。床面積あたりの木材の使用量が多く、導入が進むことで本格的な利用期に入るスギなど国産材の活用の幅が広がるとみる。

CLTは国内では国土交通相の特別な認可がなければ、壁や床といった構造材には使えない。規制の緩和に向け、国土交通省と林野庁は実証試験を進める。新成長戦略には「2016年度早期をめどにCLTを用いた建築物の一般的な設計法を確立する」と明記。建築基準法での認証を急ぐ。

政府は今春、実績づくりにも着手した。都道府県向けに林業活性化への補助金を出し、地方自治体や民間企業などを対象に、CLTを使った施設の設計・建設費用の半額を支援する。北海道や福島県、岡山県では14年度中に集合住宅などの建設が始まる見通しだ。支援先には、設計や建設を通じて得られた各種データの提供を求める。

CLTの活用は国内では高知県大豊町の3階建ての集合住宅だけで、実績に乏しい。海外には10階建てのアパートなど施工事例があり、国内でも木造の高層建築物への導入をめざす。ただ、仮に建築基準法で認証を得ても建築メーカーが採用に踏み切るかは不透明で、政府は補助金を設けることで実績の積み上げを急ぐことにした。

安倍晋三政権は農山漁村全体の所得を向こう10年間で倍増させる大目標をかかげる。林業の成長産業化を柱にすえ、新たな木材需要の創出を課題にあげる。国産材の供給量は12年に2031万立方メートルで、自給率は28%にとどまる。政府は供給量を20年に3900万立方メートルと2倍近くに増やし、自給率を高める狙いだ。